日本比較文学会中部支部第10回院生ワークショップ プログラム

 

日時:2022年2月19日(土)13:00-14:00

ZOOMオンライン開催

 

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13:00  開会の言葉:平林 美都子(愛知淑徳大学)

 

13:05ー30 研究発表

  城戸美凪 (金城学院大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程一年)

       プロレタリア文学としての吉屋信子「ヒヤシンス」

          ——葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」との比較から

司会 小松 史生子(金城学院大学)

 

13:30ー45  質疑・コメント

 

13:50ー14:00  総評 若松 伸哉(愛知県立大学)

 

発表要旨

プロレタリア文学としての吉屋信子「ヒヤシンス」

  ——葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」との比較から

 

 城戸美凪 (金城学院大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程一年)

 

 吉屋信子の初期作品である『花物語』の連載時期は、プロレタリア文学の勃興期とも重なる。当時、華やかなモダン都市の裏側で人々の経済格差は広がる一方であった。プロレタリア作家らは文学によって労働者階級の人々の悲惨な状況を世に訴えかけたが、信子の『花物語』においてもまた、労働者階級の人々への関心が随所に見られる。少女小説とプロレタリア文学は、メディアや受容層の違いから、ジャンルとして距離があるように受け取られてはいるが、同時代言説場を背景にテクストを見据えた場合、その着想とナラティヴには共通するテーマが刻まれているのではなかろうか。

 『花物語』の連載最終期に位置する「ヒヤシンス」(『少女画報』1923年10月)は大逆事件(1910)を下敷きに、タイピストという当時の花形職業に就く自立心の強い女性が、職場の支配人に対して労働環境の改善を求め、ストライキを起す姿が書簡体小説の手法を用いて描かれている。本発表では、「ヒヤシンス」に書かれたストライキの問題について、信子作品に特有の〈啓蒙〉という視点から考察を進めつつ、その分析過程で、書簡体というレトリックを戦略的に用いた同時代テクストである葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」(『文芸戦線』1926年1月)と比較し、「ヒヤシンス」をプロレタリア文学として読むことを試みる。

※聴講歓迎

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